2011-経済モデル

Q :

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Ans :

その対象のDomainを形成する主な変数が、相互に関係しあって、変化している系(System)を複雑系システムといいます。

ヒトは、この多変量の複雑系なSystemをまだ、正確にシミュレートできていないです。

マスクから出る唾の飛沫の飛散を評価するのに、最高の計算力を持つ「富岳」を使って、やっとシミュレートしています。

科学者のモデルは、複雑な変数に、環境条件を、制約して、その式を成立させています。

高校の物理で、斜面の抵抗はないとか、ボールを投げるときに、風の影響はない(真空)とするとか・・・制約がつけられていますね。実学の園児にリングでは、そのような制約条件も含めて、シミュレートできるように、科学は進んでいますが。。。

自然科学では、環境条件を制約して、実験して、想定する理論を検証して、その理論を精査するという実験による実証が取られています。今まで構築されてきた理論は、実験ー実証の繰り返しの中で、Tried-And-Trueなものが、残ったものです。

が、社会科学では、実験して、理論を検証するということが難しいため、過去のFactsをもとに、理論を帰納的に推定するという形式で、理論が成立しています。

この理論は、過去のFactsが正しく全て観察ができていて、それをもとに、未来を、ある程度、予測できるとされてきたものが、理論として残っています。

が、過去のFactsを正しくObserveできているわけでもなく、つまりは、自分の理論にとって、有効な変数を抜き出して、正当性を主張している理論が多いのです。

例えば、セイの法則は、供給力が、需要を決めると感じの理論ですが、これは、モノ不足の場合は、供給制約が需要を決定するということで、モノ不足という条件下では正しいです。が、供給過剰の中で、構造改革で供給力を効率化し、供給量を高めるという政策に応用されましたが、セイの法則を適用しても、需要が増えるという結果にはなりません。理論が独り歩きして、正しい適用ができていない例です。

例えば、クズネッツの経済成長によって所得格差は縮小するという論は、正しいとされていましたが、ピケティのg<rの指摘で、g>rになるのは、戦後のある特殊な条件であったと指摘されています。これは、ある時期に正しい理論でも、あとでくつがえされた例です。

例えば、市場での自由競争により経済資源を効率的に使えるとして、政府の介入による市場のゆがみを極力排除するべきという新自由主義イデオロギーは、グローバルでの富の偏在を生み、現在は、America FirstやBrexitで、そのイデオロギーは問題が多いということが分かっています。

新自由主義は、実験検証ができない社会科学で、理論だけで政策を作り、壮大な社会実験を行った結果、誤った結果が出た良い例です。

以上のように、現状の社会科学では、まだまだ、経済を正しくシミュレートできない状況です。

ただ、ITネットワーク上で、物品の需要と供給、貨幣量、物品価格などが監視でき、物品そのものの生産も、野菜工場みたく、自動化制御して、生産量が調整できるようになると、徐々に、正しくシミュレートできるようになると思われます。